◆たとえば…… 2005/10/17 |
「ねぇ、僕はその宝玉が欲しいんだ。君の体に埋め込まれたその宝玉がね」 薄汚れた夜の地下室。 私は言われた言葉の内容と裏腹に、無邪気過ぎる声に戦慄を覚え、後退する。 するとシャリは嘲笑なのか、単純に笑みなのか分かりづらい顔で笑った。 「でもさ、それ、取れないでしょ? だから君の死体から取ろうかと思ってるんだけど、いい?」 私は恐れのあまり、身震いして体を抱きしめた。息が詰まって……体が動かない。 「返事がないなら、承諾と受け取ってもいいのかな? アハハ……」 彼は笑いながら、近づいてくる。 私は言い知れない恐怖を感じて、とっさに叫んでいた。 「こないで! 私の体はあんたのものじゃない!」 「イヤなんだ」 毅然として言ったつもりの声が震え、自分の腑抜けっぷりに嫌気がさした。 私はシャリの問いに答えず、また一歩、後ろに下がる。 目を離したら何をするか分からないと思って、私はシャリの目から一時たりとも目を離さなかった。 「イヤに決まってるでしょ……!」 「じゃ、どうするつもり?」 シャリはおかしそうに笑って、じっと暗い目でこちらを見てくる。 彼は言葉をついだ。 「その宝玉は、確かに絶大な魔力を与える。だけど、そんな魔道器を体に埋め込んだりしたら長くないよ」 「そんな……」 「そうだね。せいぜい、後二、三年ってところかな。君も体の変調を感じ取ってるんじゃない?」 私は不意に目を逸らしてしまった。思い当たるところなんてたくさんあったからだ……突然襲う吐き気、めまい、視野狭窄状態……数え上げればきりがないほどに、私は自分死臭を色濃く嗅いでいた。 「フフッ……どうせ死ぬなら、僕が有効に使ってあげるよ。本望でしょ?」 「違う……そんなの、違う! 私は絶対に、」 私は気がつくと大きな声で身を乗り出し、反駁していた。 「絶対に諦めたりしないわ! 死ぬ気なんてない!」 するとシャリは吟味するようにしばらく沈黙して、出しぬけに口を開いた。 「それで? 君が決意したって、現実は変わらないよ? クスッ……、君は五年後、地上に存在していない。あるいは魔力に取り込まれて、怪物と化すか……そうなったら、僕が君を引き取ってあげるよ、アハハ……!」 「私は、」 嗚咽をこらえ、私は叫んだ。 「私は、絶対にこの忌まわしい宝玉を体から引き剥がして見せるわ。絶対に、よ!」 「じゃあ、見てるよ君を。君が死ぬ前に観察日記でもつけてあげる」 そうして、私の、たった一人の戦いが始まったのだった…… という感じのを考えてみたんですが、うーん……どうシャリを絡めて行くかがポイントになる感じでしょうかねー。 このシャリですと、重要な戦いの前とかにだけ現れて、「やぁ元気?」とか声かけてトンズラする感じ?(笑) たまにどこかから仕入れたアイテムを売ってくれてとか。 うーん……あ、そうだ。ところで今書いてるのはやっぱりギャグです。タイトルは「ゆけむり温泉殺人事件」。 ……私は本気です(言い張ってみる) |