その瞳は今、赤く光り。
3番目

 風の音がいっそう強くなったようだった。同時に吹きつける熱い風が、産毛をちりちりと焦がす。
 リヒトは頂上から天を見上げる。いつもと変わりなく青いそれに安堵した。
 シャリは黙って、後ろに立っている。
 彼の周りだけは吹きつける風も穏やかになるのだろうか。それほどばたばたと髪がはためいたりはしていない。というか、こんな風が直接吹きつけたら、彼の帽子は飛んで行ってしまうことだろう。
「やれやれ。どうして最近はこうも招かれざる客ってのが多いんだか」
 金と銀の混じった髪を風にはためかせ、例の――、ダルケニス疑惑をかけられた男が歩いてきた。
 リヒトが視線を向けていると、彼はシャリに目をやって、ほんの一時、足を止めた。だがそれきり、後は何食わぬ顔でシャリの側を通り抜けて、リヒトの前までやってくる。
「それで、今日は何の用なんだ? 頼むから手短にしてくれよ」
「あなたは、ダルケニスか」
 リヒトは率直に疑問をぶつける。
 彼の後ろでシャリが「うわー、大胆」と唇だけを動かすのが見えた。
 男は小さく口の端に笑みを浮かべ、「何のことやら」と言って肩をすくめたが――、
 リヒトは脳髄を駆け抜ける電流のような何かに身を任せ、槍を上向けた。
 男はすでに剣を抜き跳躍しており、太陽を背にして剣を振りかぶっている。
 リヒトは目がくらみ、わずかに目を細めた。が、構わずに槍を振るった。金属同士がぶつかり合い、こすれて耳障りな音を出す。
 男は着地するや否や剣をもう一度構え――、そして下ろしてしまった。
「フン……抵抗なんて今さら、だな」
 男は髪をかきあげると、剣の柄から手を離した。
 乾いた音が、風の中にまぎれてリヒトの耳朶を揺さぶった。
「私は、」
「言わんでもいいサ」
 男はシャリの方に顎をしゃくって、大儀そうに口を開いた。
「そこの旦那に頼まれて、俺を殺しに来たんだろう冒険者。アンタら冒険者ってのはいつでもそうだ。こと異種族と見りゃあ迫害し、正義の名がつけばどんな無法も許されると思っていやがる……」
 男は地面に唾を吐くと、口元をぬぐってすごみのある笑みを浮かべた。
「まぁ、今さらそんなことを言っても始まらないか。さ、どこからでも切り落とせよ。腕か、足か、それとも一思いに首か。俺は抵抗しないぜ? ハッ、こんな簡単な依頼でいくら儲けるんだよ、え?」
 リヒトは槍の先を回転させて、男の顎に向けた。
「お前は、死にたいと望んでいるのか」
「ハッ、ちゃんちゃらおかしいぜ。何が悲しくて、俺が死にたがらなきゃならないんだ。殺そうとしてるのは、お前――」
 リヒトは、風に弄ばれる黒い髪を押さえようともせずに、槍を下ろした。
「これは、やはりお前のものだろう」
 リヒトは再び片方の耳飾りを取り出すと、男の前にたらした。
 彼は、口元にやはり笑みを刻んだ。
「ああ、そうだ。……それがどうした」
「返す」
 男は一瞬、呆気に取られたように口をぽかんと開けた。そして次の瞬間、腹を抱えて笑い出した。
「はは、ハハハ――、こりゃおかしいな。何だってお前が、そんなものを俺に渡すんだよ。これから殺す男によ」
「……、大事なものなのだろう。お前が欲しがると思うからだ」
 男はこっけい極まるといった調子でさらに笑い声を上げる。
 しかし、リヒトはいつまでも耳飾りを引っ込めない。
 やがて男は笑みを収めて、渋々と言った調子で手を――震わせて――差し出した。
 リヒトは開けられた手の平に、耳飾りを落とす。
 男はそれを、信じられないものを見るような目で見ていた。
 しばらく、風の音だけが二人の間に立ちはだかっていた。
「……これは、俺の祖父がくれたモンだよ。アンタは、あの爺さんから依頼を受けて来たんだろう? あれが俺の祖父さ」
「そうか……」
 男は天を仰いだ。
 しばらく、誰も口を開こうとはしなかった。開いたら、何か重大なことが変わってしまうような気がして。
 ……やがて男はリヒトにあざ笑うような目を向ける。
「いいゼ。聞かせてやるよ。どうせ死ぬんだ、悔いはないさ……、とは言っても、それほど話すことがあるわけない。俺はダルケニスだ、迫害された陰惨な過去など聞きたくもないだろう?」
 少し顔をリヒトに向け、尋ねてくる。
 リヒトは彼が、相槌のみを求めているのだと知っていた。だから首を横に振るに留めた。
「そうか。まぁどうでもいいさ……俺の祖父は、ダルケニスの女との間に子をなした。それが俺の親父だ。しかし、手元に置いておけばいずれ秘密がばれる……そう思ったあの爺さんは、親父を森の中に捨てた。半狂乱になった俺の祖母は、その親父を探しに行って――ちょうど間の悪く居合わせた賊に切り殺された。後悔した爺さんは、俺の親父を死に物狂いで探そうとしたが、どうしても見つからずじまい。やがて諦めかけた頃に見つかったのが、息子の俺ってワケさ」
 シャリがリヒトの隣まで歩いてくると、興味深そうな目で男の物腰を観察しだした。
 それにも全く注意を払わず、男は話を続ける。
「ま、それであの爺さんは孫の俺をここにかくまって、後はご存知の通りだ。バレたんで都合が悪くなる前に消そうって腹。全く、胸の悪くなるような狸爺だぜ」
 自棄になっているのかそうでないのか。男は前に見た時と同じように、仕草の一つ一つが面倒くさそうだった。
 リヒトの方に視線を送っている男に、頷いて見せる。
「……なら、生きて復讐すればいい」
「なんだと?」
「今ここで死ぬことなどない。私が協力してもいい、生きろ。生きたい者は、生きるべきだ」
「……はは、ハハハハハ!」
 男は突然、狂ったように哄笑を上げた。
「もう無理だ……、俺にそんなつもりはねェよ。おい、お前……ダルケニスとして生きるってことが、どう言うことだか分かってて言ってるか?」
 男は狂気に取りつかれたような、ぎらついた目でリヒトに迫った。
「恋人も、親も、友人も、みんながみんな離れて行くんだ……、俺がダルケニスと知ったとたん、近所の奴等は俺に石を投げ、冒険者どもが――女、分かるか!? 武器持って、へらへら笑い腐った冒険者どもが、突然俺の住み家に現れて、俺に剣を突き刺そうとした! ああそうだ。俺はその時、人を殺したよ。だが俺は悪くない……! 完全な自衛行為だよ、だがそれも!」
 リヒトは肩を掴まれた。だが一分たりとも動かなかった。
「次の日、町にどういう噂が流れたか教えてやろうか? あ?」
「……」
「俺が、無抵抗な一般人を突然虐殺したと、こうだ! 信じられるか……? え、お前にこの苦しみが分かるのかよ。分かんねェなら、中途半端な同情で、大それたことを口にすんじゃねぇ! 生きるべきだと? 俺が、このダルケニスの俺がか!?」
 血走った目を向けてくる男に、リヒトは強い口調で言う。
「そうだ。お前は生きるべきだ。お前が望むのなら、そうしなければならない」
「なぜだ!? なんでお前にそんなおためごかしが言えるんだよ、答えろ女!」
「それが、人間であるということだからだ!」
 リヒトは気がつくと、男を振り払って叫んでいた。
「人は人として生まれた以上、意志を突き通さなければならないんだ。でなければ、その者は人とは、言えないんだ……」
 男が黙り込んで、引きつったような笑みを浮かべた。
「だから私は、意志を持つ者を何よりも尊いと思う。それが私の意志でもある。だからお前が生きたいというのであれば、私はお前に協力するし、絶対に死なせたりはしない」
 リヒトは、あまり驚いた風もないシャリの方を見た。
「……、そう言うものを守るために、私は強くなったんだ。これだけは、どうしても譲れない」

「う……、うぉぉおおおおおっ!!!」
 男が不意に剣を拾い、リヒトに飛びかかってきた。
 リヒトはほとんど訓練により体に染み付いた動きで槍を振るう。澄んだ高い音と共に、彼の剣を空高く、弾いた。
 青空に舞う剣が太陽の光を受けて、まばゆいばかりの光を放つ。
 それが地面に突き刺さったその時、男は膝をついて、うなだれていた。
「俺は……俺は、どうすればいいんだよ……、今さらそんなこと言われたって……」
「生きろ、全てを捨てても。それがお前の意志なら」
 男が、救いを求める幼子のような顔でリヒトを見上げた。
 リヒトは頷き、手を差し出した――
 だが、その姿に影が差す。
「で、めでたしめでたし……という訳には行かないのが人生の悲しいところだよね。アハハッ」
 事態を静観していたシャリが、見計らったように言う。
 実際見計らっていたのかも知れない。
 リヒトはシャリを見つめた。
「どこまでも、邪魔をするのか」
「うん、まぁね。だって、君も一応冒険者なんだからさ、依頼はちゃんと果たさないと。ね?」
 子どもをなだめるような口ぶりで言う。
 リヒトは全く承服できないとばかりに首を横に振った。
 ……もしも彼が、……と言ったのなら、私はそうしてもいい。だが、そう言わないのだから、私は――
「……ならば戦うまでだ」
「そう来なくっちゃね」
 シャリが紫色の直刀を、どこからともなく取り出した。地面を蹴り、ふわりと宙に浮かぶ。
「でもね。そんなの無駄だと思うよ?」
「何?」
 リヒトは槍を振るおうとする腕を止め、聞き返した。
「だって、彼自身、生きることなんて望んでないもの。フフ……、ねぇ、そうでしょ? さっきだって、勢いで言っちゃっただけなんだよね?」
 シャリに視線を投げられた男は、それを投げ返そうともしない。ただがっくりと肩を落としていた。
「……ほら。それでも戦うの? 勇者君?」
 私は、それでも――
 リヒトが口に出そうとしたその時、男がゆっくりと立ち上がった。
「いや、そうでもないぜ……」
「……あなたは……」
「フン、ろくな人生じゃなかったが、最後に希望を見つけた気がするな。……ありがとよ」
 リヒトはやや眉をしかめた。嫌な予感がする。
 この男――
「俺は――……ダルケニスとして生まれてしまったことで、ずっと自由じゃなかったなぁ」
 男が瞬きした。夕暮れのように赤い瞳が姿を現す。
 その瞳は人によっては恐ろしいと言う類の色だろう。だがリヒトにはその瞳が、泣きはらした子どもの目にしか見えなかった。
 どうしても、彼女にはそうとしか見えなかった。
「俺は、生まれ変わったら好きな女を愛して、好きな友達を作って、好きな酒を飲んで……、そうやって自由にずーっと暮らして行きたかったぜ」
 男は言葉を切ると、不意に道を逸れて、崖下を覗き込めるところまで歩いて行った。
 リヒトは金縛りにあったかのように動けなかった。いや、
 動いてはいけなかったのだ。
「俺は、……そう言えば、アンタ名前何て言うんだ?」
 鉛を飲んだように喉が重い。だがそれでも言わなければならなかった。
「リヒト」
「そうか。いい名だな。リヒト……」
 男は首を上向けて、腕を少し体から離した。
「……俺は、俺のやり方で自由になるよ。ホントありがとな」
 男は、リヒトの方を向いて小さく微笑み――、そしてそのまま、崖から身を躍らせた。
「っ!」
 リヒトは信じられないという思いに身を浸す前に、地を蹴って男に手をのばそうとした。ほとんど勘だけでのばした手の先が、温かい感触を掴む。
「……っ」
 肩が千切れそうに痛む。しかしリヒトは顔を少ししかめただけで、男の手を引っ張り上げようと力を込めた。
 どうしてこんなことをしたのか、分からない。
 リヒトはかすんで見える、男のあどけない表情に目をやった。
 男はくしゃりと相好を崩した。
「……ホントバカな女だぜ。もし生きててもいいなら、アンタと恋がしたかったな」
「だったら、生きろ! 何でお前は、自分の、……意志を、捨てようとするんだっ……」
「いや、捨てちゃいねぇよ。ただ、生きていられないだけさ。家族のためにな。……おい、リヒト」
「……っ!?」
「ジジイによろしくな」
「まっ――」
 リヒトの手の平から、温かな感触が消えた。
 リヒトは呆然と、その意味するところを悟り――とっさに身を投げ出そうとしたが、肩を誰かに掴まれて、叶わなかった。
「離せ!」
 手が離れた。
 リヒトは立ち上がると、槍の柄を強く地面に打ちつけた。
「……」
 胸に悲しみと自責の念がこみ上げ、目の前がくらくらした。
 結局、死なせてしまった――私の力がたりないせいで。
「あーあ、死なせちゃったね」
 リヒトはシャリに視線を移した。
 シャリが唇に笑みを乗せて、リヒトを見ている。
「どうすんの? 偉そうなこと言ってたわりに、呆気なく死なせちゃったけど」
「……私は……」
「君のせいだよ。責任取れる?」
「ああ。私は、一生……」
 この男の死を忘れない……
 言おうとして、リヒトは自分の手のひらに何かがあることに気づいた。何かの予感に震えながら、開けて見る。赤い、石が悲しげに彼女の手の中で光を放っていた。あの、片方だけの耳飾りだった。
「どうして……?」
「……彼は君にそれを渡したかったんだよ。君が死なせたのにね。こっけいだね」
 リヒトは少し目を伏せるシャリを、振り向いた。
 堪え切れずに後ろを向いて、耳飾りを握り締めた。その手の平の中でも、赤く、血のように赤く光っているのだろう。永遠に。




 遠く、爆発音が聞こえた。

 
 土砂崩れのあった場所に戻ってみると、カルラと長老の……ドゥルガーがたたずんでいる。
 もうもうと煙が上がっていたが、爆破でもしたのか、すっかり土砂は取り除かれていた。
 カルラは複雑そうな顔をしている。
 長老が少し鼻を鳴らして、リヒトの方を無遠慮に見た。
「首尾はどうだったのだね、リヒト殿」
 リヒトは淡々と、答える。
「ダルケニスは、死んだ。崖から飛び降りた」
「……」
「これが、証拠だ」
 リヒトは耳飾りを取り出した。
 ドゥルガーは、それを見ただけで十分過ぎるほどに何かを察したらしく、――しかしわずかに眉間の皺を深くしただけだった。
「おお、そうだったか……、ではシャリ殿、報酬を」
 シャリは何も言わずに、リヒトに重そうな皮袋を差し出してくる。その瞳は、珍しく感情めいた色を宿していた。
 だがリヒトは首を横に振って、長老を見据えた。
「あなたは本当は、私に違う依頼をしていたはずだ。お孫さんを助けて欲しかったのだろう」
 老人は、いきなり年齢の倍も年を取ったように見えた。
 彼はゆっくりとした動作で首の後ろに手をまわす。……その手には、赤い宝石のついた首飾りが乗っていた。
「……、あの子は……わしの孫は最後に何と?」
「……自由に、」
 リヒトは思い出しながら、言った。槍にかけた手が少しだけ、強張った。
「自由になりたかったと」
「おお……」
 老人は深い苦悩をその皺に刻み、頭を抱える。
「正体のばれたダルケニスは、死なねばならんのだ……、それが、全ての……」
 リヒトは言いたくなかった。苦いものを飲み込んで、口を開いた。
「あなたも……ダルケニスだな。ドゥルガー殿」
「おお……、おお……」
 老人は何度も目を瞬き、そして真っ赤な目をあらわにした。
「正体のばれたダルケニスは、死なねばならんのだ、それが我等一族の、掟なれば、どうして従わずにいることができようか? 許してくれ、ハルシャ!」
 ハルシャと言うのが、あのダルケニスの……名前なのか。
 リヒトはその時に至って、ようやく自分があのダルケニスの名前すら、知らなかったことに気づいた。リヒトは変わらず背をのばしていた。
「それから、彼はありがとうと。あなたによろしくと」
「ハルシャ……いや、」
 ドゥルガーはリヒトの方に、涙で光る目を向けた。リヒトは顔を逸らさなかった。
「あの子がそこまで言ったのなら……あの子はあんたを信頼したんだろうなぁ……ならば、わしの依頼はちゃんと終わったということだ……あの子はもう、そうすることでしか助からなかったのだ」








 風が吹いていた。その風は、どこか苦いもので。
 去った老人を追いかけ、カルラはいない。

 リヒトは首を横に振った。なぜかまだ、去ろうとしないシャリに問う。
「なぜ、あの老人に手を貸していた?」
「そんなことに興味あるんだ」
 シャリは面白そうな顔で、リヒトの方を見る。しかしリヒトは、頑なに前を向いたままだった。
「ああ。それだけが、分からない」
「……、案外君と同じ理由かもよ」
「……」
 リヒトは、槍を地面に置いて、座った。
「私は、……また守れなかった」
 強くなろうと生きてきた。ああいう意志を守るために生きようと決意した。だがそれは、無駄な努力だったのかもしれない。
 悔しさがこみ上げる。
 しばらく、沈黙が落ちた。
 シャリは答えなかったし、リヒトは前を向き続けるので必死だった。
 夕暮れが迫ろうとしていた。血のように赤い夕日が、落ちる――、それは否が応でもあの、石を思い出させるものだった。他人を装う二人の中で、ただあの色だけが彼ら家族の証のように思えた。

 物思いに沈んでいると、不意にシャリが動いた。左の頬と、肩に温かい感触が触れて、強く抱きしめられる。香のような優しい香りが、リヒトの心を慰めた。……痛いくらいに。
「これが、君の選んだことの結果だよ、リヒト――、それでも、それでも君は前に進むの? 何もかも犠牲にして」
 リヒトは自分を抱きしめるシャリの腕に、手をかけた。
 シャリが頭を傾けて、リヒトの肩に乗せた。
 息が苦しい。さまざまな思いが一気に去来して、胸が崩れそうだった。
「……しゃ、り……」
 リヒトは思わず目を閉じて、目の奥から熱いものが流れ出そうになるのを、感じた。
 いっそすがれれば、どんなに楽だろう。いっそ誰かの前でだけでも膝をつけるなら。身を寄せ合っていることができるなら。
 でもそれは、彼にも私にも、できない――
 リヒトは、一度だけぎゅっと彼の腕を握った。そしてシャリを、やんわりと突き放した。彼はあまり拒もうともしなかった。
 槍を握ると、立ち上がる。
 夕日を見上げ――、一瞬だけ耳飾りを見下ろした後、夕日に向かって投げる。せめて自由に。この証だけでも。それだけを願った。
 それでも膝はつけない。まだ休む訳に行かない。
「私は、それでも、   」
 彼は静かに、頷いた――






END

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 なんか……もういっぱいいっぱいです。
 このくらいの話なら、いくらでも書けるんですが……シャリ女主じゃ、ないですよね。