トカゲと伯爵と虚無の子と  ジルオール・いんふぃにっと。


 シャロンは大きく伸びをした。さわやかな朝である。ダンをギルドまで送り届け、シャロンは一人、テラネの宿に戻っていた。シャリとは、屋敷のあった場所で別れている。
 シャっとカーテンを開き、朝日に目を細めると、彼女は手早く鎧をまとって外に出た。

 すると朝日に照らされて広がったのは、……色とりどりの花が何万本と生える巨大な花畑だった。建物はそのままに、地面という地面に花が咲き乱れているのだ。風が吹くと、波が押し寄せるようにざわざわと何色もの花びらが舞い散り、夢のような光景だった。
 深呼吸すると、かぐわしい香りが胸いっぱいに広がった。こんな光景を目にすれば、誰でも、きっと世界に絶望していても立ち直れる。シャロンはそう信じた。
 もうすぐ人々が起き出して、大騒ぎになるだろう。でもその前に……
 シャロンは花の中に埋もれるようにして倒れ込むと、まだ薄く白んでいる空を見た。雲が流れるいつもの光景である。人一人の悩みなんて、この偉大な空に比べれば瑣末なことだ。
 シャロンはそう考えて、ゆっくりと目をつむった。もう少しだけ、このまま。
 とその時、姿もないのに声だけが、どこからか響いた。
「それは君の願いじゃないね。……じゃあ、答えかな?」
 シャロンは、唇を小さく動かした。ある人の名前を、花びらと一緒に空のかなたへと、飛ばした。





END

……もう何がしたかったのか自分でも分かりません……

私にはセンスがない!(断言)
というか、長すぎますね…、はい。
最初はコメディだったんです。女主がナチュラルに人を殴り殺す感じの。
でも実際ナチュラルに減ったのは私の体重です。

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